コロナ禍において日本だけでなく、世界中が緊急経済対策と称して、何百兆円もの資金をばらまいてきました。新型コロナウィルスの猛威が沈静化し、世界が経済活動の再開にあたり、インフレーションを警戒し始め、一斉に金融引締め(金利引上げ)に舵を切り始めています。日本は、日銀が依然として金融緩和による低金利政策の維持を宣言していますが、海外の金利上昇を受けて長期金利が上昇し始めています。“我が家”の住宅ローン金利は、大丈夫なのでしょうか?
固定金利を選択した我が家は大丈夫?
固定金利を選択していたあなた、当初懸念していた金利上昇リスクが顕在化しようとしています。想定以上に超低金利が続き、釈然としないことも多かったかもしれませんが、今感じている「安心感」こそが、固定金利選択の「対価」です。
現在の経済状況は、金利上昇だけでなく、ロシアによる「ウクライナ侵攻」という特殊要因と日本と海外との金利差による急激な円安というダブルの要因での物価高が家計を襲っています。
そのような中、住宅ローンの返済額が増加しないというだけでも、大きな安心材料です。
住宅購入時に作成したキャッシュフロー表があれば、今回の物価高がどの程度将来に影響するかを点検しましょう。
もし、ライフプランを立てず、キャッシュフロー表も作成していなかった場合は、今がオリジナルのライフプランを立てる絶好のタイミングです。将来の老後まで見通せるライフプランを立て、安心を手にしましょう。
変動金利を選択した我が家は大丈夫?
変動金利を選択していたあなた、後々対応することにしていた金利上昇問題に関して手を打つタイミングがきました。弊社では、住宅購入する際は、基本的に固定金利を推奨していますが、変動金利を希望されるお客様には、お客様の個々の事情を踏まえたうえで、選択時に留意点と金利上昇時のアドバイスをさせていただいています。ですので、アドバイスにしたがって対応いただければ、大きな問題は生じないでしょう。
もし、金利上昇時の対応策を検討されていなかった場合は、どの程度影響がでるかもわからないので、大丈夫かどうか「わからない」状態です。
対応を誤ると老後に大きなしわ寄せがいき、体力と持ち時間が少なくなったタイミングで難度の高い意思決定を迫られることになります。
今すぐ、ライフプランを立てて、キャッシュフロー表を作成することを強くお奨めします。
金利が上がるので、固定金利に切り替えれば何とかなる?
そんなに単純な話ではありません。
固定金利と変動金利では、常に固定金利が先に変動します。金利上昇局面では、政策金利に連動する変動金利よりも市場に連動する固定金利の方が、早く上昇するのです。つまり、2022年以降の変動金利と固定金利の差(ギャップ)は、今後も広がっていくはずです。
(更新日2023年10月3日現在において固定金利が0.3~0.4%上昇し、金利差も広がっています。今後も固定金利の上昇が見込まれます。)
これから切り替えた場合、変動金利が今の固定金利を大きく上回って上昇しない限り固定金利に切り替えるメリットはでません。とはいえ変動金利のままだと今後も上昇するたびに不安に駆られることになるでしょう。
金利切り替えの決断は、どうすればいいの?
決断するには、「現在の固定金利」へ切り替えた場合のローン返済額をもとに、精度の高いキャッシュフロー表を作成し、ライフプランの変更が必要かどうか検証する必要があります。
固定金利に切り替えても何とかなるのであれば、1%超えるような大幅な金利上昇リスクに備え、固定金利への切り替えも選択肢となります。
もし、返済額が増加することで、ライフプランを見直しても将来資金繰りが回らないようであれば、固定金利に切り替えるべきではありません。金利変動リスクを受け入れ、「現在の固定金利」水準 まで上昇する時間的猶予を使って、住宅ローン返済資金以外の支出を精緻に見直すことでライフプランを立て直す必要があります。その場合は、まさしく“タイム イズ マネー”です。大至急対応が必要です。
固定金利、変動金利、いずれの場合にもプランニングの前提となった経済状況が変化した際には、ライフプランの見直し・点検は必要です。特に、変動金利を選択してリスクテイクしてきた方は、金利上昇シナリオ毎の精緻な見直しを要します。
ライフプラン相談研究所は、お客様オリジナルのライフプランの作成・見直し・点検をお手伝いします。
公開日:2022年7月7日
更新日:2023年10月3日
CFP🄬 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
樗木裕伸(おおてき ひろのぶ) CFP🄬
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